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正しく理解したい、エネルギー収支比(Energy Profit Ratio, EPR)とは

エネルギー収支比(Energy Profit Ratio, EPR)とは、EPR=出力エネルギー÷投入エネルギー、EPRは必ず1より大きい必要がある。1より小さいということは、エネルギー資源ではないということ。石油は20世紀初頭の全盛期はEPRは100もあった。自噴する資源は石油だけ、もうその豊かな石油時代は終わっている。

例えば水素自動車だが、水素製造と水素自動車の部分は注目され検討が進んでおり、実現性が高い。しかし、製造した水素は気体であり、輸送、貯蔵には適さないので、体積の小さい液体にする必要がある。このために絶対零度に近い-263℃まで冷却する。ここに膨大なエネルギーがかかる。このように全体を見通すことがEPRを実施する最大の意義である。
水素は一次エネルギーでなく二次的である、何かから作る必要がある。天然ガスからエネルギーをかけて水素を作る。天然ガスからは殆ど意味がない、何故なら天然ガスピークも遠いことではないからである。 もっとエネルギーをかけ、水の電気分解をして水素を作る。風力、太陽光発電の電力貯蔵のための水素製造は電気から水素への変換のエネルギー損失や輸送、貯蔵の液体にするための損失を考えると、電気はそのまま使うのがよい。高温ガス炉(原子力)からの水素製造も同じであり、高温の熱をそのまま使うか、電気として使うべきである。水素は石油代替えとならない。

エネルギーペイバックタイムとの関係については、投入エネルギーの算出の際にライフサイクル全体を考慮(#投入エネルギーの考慮範囲を参照)している場合は、EPRとエネルギーペイバックタイム(EPT)との関係は EPR = (想定寿命)/EPT で表される。
しかし、現在活用されているEPTでは、この関係は成り立たない。産業活動に伴って二酸化炭素を排出し、それが地球温暖化につながる。この二酸化炭素を排出面からエネルギーの費用対効果(効果=出力(二酸化炭素)に対して費用=投入エネルギー(二酸化炭素))を見ているのがEPT,EORI、EROIEである。二酸化炭素と熱出力は比例関係にある。熱出力で見る場合が多い。

EPTが2年、もしくは3年という数字を300万円の太陽光発電を2年か3年で元が取れると誤解している方が多いが、EPT=入力(二酸化炭素)/出力(二酸化炭素)であり、EPT=入力(投入したエネルギー)/出力(電力)ではないことに注意すべきである。
一方、少ない石油から多くのエネルギーを得る。石油ピークの時代はエネルギーを質から見て、効率的に使うことが求められる。このエネルギーの費用対効果(効果=出力(電気など実際に使うもの)に対して費用=投入(実際にかかるエネルギー))を見ているのがEPRである。 EPTは地球温暖化を最優先に、EPRは資源の有効利用を最優先に考えている。ここが大きな違いである。 注)EPT: energy pay back time, EORI: Energy Return on Investment 、EROIE: Energy Return on Invested Energy

具体的な計算式は EPT= [Ie(2.25)+If]/[Oe(0.86)] EPR=[Oe(0.86)*20]/[Ie(2.25)+If]  
20:太陽光発電の寿命(年)  Ie:電力としての投入エネルギー、If:化石燃料としての投入エネルギー、Oe:発電される電力エネルギー/年、Oe(0.86) 1kw=0.86Mcal 正味の電気エネルギー、 Oe(2.25) 1kw=2.25Mcal 電気を作り出すための熱エネルギー(二酸化炭素排出量に比例) 

以上、元電力中央研究所;天野治氏によるが、客観的とされるWIKIPEDIA(日本語)が間違っており、それが訂正できないからである。投稿してもすぐ消される、とか。
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by tikyuu_2006 | 2008-11-23 07:08 | エネルギー、環境
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