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新政権への提言:「石油ピークと人類未来」 もったいない学会 会長

鳩山政権への提言である:「石油ピークと人類未来」 2009年11月 もったいない学会 会長 石井吉徳

(1)エネルギー:石油ピーク、EPR、低エネルギー社会
「地球は有限、資源は質が全て」、エネルギーが「文明のかたち」を決める。それはエネルギー無しに何も動かず何も作れないからである。今石油文明が限界に来ている。
石炭、原子力、太陽、風力発電ですら石油が頼りである。この文明の生血、石油の生産が需要に追いつかなくなる、それが「石油ピーク」である。
これは食料ピーク、現代農業は肥料、農薬、機械など全てに石油、天然ガスが欠かせない。そして農作物が消費者に食品として届くまでの流通、加工に石油が更に使われる。

合成化学原料も石油、天然ガスである。 車、飛行機、船も流体燃料で動くから、石油ピークはグローバリゼーションを直撃する。つまり「石油ピークは食料ピーク、そして文明ピーク」なのである。
しかし社会はそうは思わない人が大勢である。まだ石油はある、新エネルギーも技術によって、さらにメタンハイドレート、水素エネルギー、海洋エネルギー、宇宙太陽発電など技術開発で可能という。だが、それは「質」を考えていない。

石油ほど質のよい優れた濃縮した資源はないのである。石炭液化もエネルギーが必要であり、資源も有限である。原子力で水素をと言う見解もエネルギー収支比、EPRで評価すべき。しかも水素は扱い困難、社会インフラを全て変えるレベルである。
長期的に太陽、風力、小水力などの自然エネルギーに期待だが、量は膨大だが濃集していないことを念頭に地域分散型で考えるが、最も重要なことは先ず脱浪費である。永遠に量的成長を望まない。

経済恐慌の真因は石油ピーク、財政投資の効果は一過性でしかない。1929年の大恐慌当時と違い資源制約が根本にある。今後、文明は「長い下り坂」に、それにどう対応するか本気で考えることである。中国、インドなどの内需拡大に期待しても、一時的、彼らの国内資源も有限だから。

(2)環境:温暖化と国際的な力学、国益
地球温暖化の危機は喧伝さるが、地球の資源制約は語られない。もう来ている石油ピークは温暖化より重大であると認識することである。そして温暖化を科学的に理解し、石油ピークのもたらす危機に備えるのである。

IPCCを絶対視するが、そのモデルは科学的なエネルギー論を欠く。IPCCのいう過去100年の地球温暖化は科学的事実であるが、その0.5℃/100年の上昇は自然現象のようである。しかも2000年 頃より気温上昇が止まり、むしろ降下ぎみである。この観測事実はIPCCの予測に反する。
過去1000年の気候変動から、今は1400~1800年頃の「小氷河期」からの回復にあるという。それに約30~50年周期の準周期変動が重なっており、今は下降気味で温暖化が止まった可能性、という科学的見解は無視できない。
IPCCのコンピュータ・モデルは計算である。それが今では「事実」にすり替わった。太陽活動の影響も無視できないと科学者は述べている。科学を尊重しない対策は国益に反する。

もう一つ重要な視点がある。地球温暖化がエネルギー問題であること。IPCCのモデルはIIASAのエネルギー予測使っている。このIIASAエネルギー・モデルが科学合理性を大いに欠くのである。楽観論に支配され、「石油ピーク」は全く考慮されていない。資源制約を考ないIPCCの論理を絶対視してはならない。
地球社会にとって資源制約こそ重大である。「低エネルギー社会」を目指すべきなのである。そうすれば自ずと脱炭素が含まれる。

(3)中央と地域:地方主権、地産地消、日本のプランB
人間は自然の恵みで生かされている。資源制約には自然と共存する科学技術、英知が必要である。未来はモノ作り技術ではなく「知恵の技術」が大切である。
究極的な社会の役割とは、人の口に食べ物を運ぶこと、である。脱石油社会の基本は「集中から分散」である。
地域主権、分散型で農漁業、自立、自存社会を目指す。流通、加工の仕組みを改革する、生産者が潤う仕組を構想する。その主役は地域・コミュニティー、地方分権も地方官僚に権力を移すだけにならないよう注意する。

そして日本の「もったいない」の心を大切にする「日本のプランB」の10カ条である。日本の自然、地勢を取り入れ、大陸でない日本を念頭において、
1)浪費、無駄しない、日本は世界6位の「海岸線の長さ大国」、大陸ではない山岳75%
2)西欧文明の終焉、脱欧入亜を目指す、アメリカ主導のグローバリズムは自壊する
3)1970年頃を目指そう、当時エネルギー消費は半分、食料自給率は60%、現在より「心は豊か」であった
4)少子化、人口減をチャンスとする、民族の生存には人口少ないほど有利、年長者も働く
5)流体燃料危機である、車社会を見直し、鉄路、公共運輸の充実、自転車を利用する
6)集中から地域分散、低密度の自然エネルギーは分散利用、評価はEPR(エネルギー収支比)
7)日本列島を有効に使う、石油依存農業の見直し、地産地消の自然農業、分散社会への知恵の技術、
8)循環社会は3R;Reduce(減量)Reuse(再利用)Recycle(リサイクル)の順、先ず減量
9)効率優先社会の見直し、集中から地域分散、自然と共存をはかる、これは60倍の雇用を生む
10)GDPの無限成長より「心豊かに」、「もったいない」、「ほどほどに」、「人のつながり」を重んじる社会


以上
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by tikyuu_2006 | 2009-11-17 11:49 | これからの日本