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京都議定書はヨーロッパに騙された:テレビ朝日の田原総一郎氏

1月20日、テレビ朝日のサンデープロジェクトでキャスターの田原総一郎氏が、日本は京都議定書でヨーロッパに騙されたと述べた。その意味は、かって東ドイツなどの旧ソ連圏、二酸化炭素を大量に排出する高エネルギー産業社会を取り込んだ西ドイツ、西側のヨーロッパ勢に対して、世界でもっとも省エネが進んだ日本は基準年1990年は大変に不利である、ということである。

1997年、京都議定書策定の当時、私は立場上、一科学者として京都国際会議場にいたが、この会議は国際政治力学、国益のぶつかり合う場と思ったものである。今回のテレビ番組での田原氏の見解は、国際政治力学ではむしろ当たり前なのだが、今までそれは言ってはいけないタブーだった。

だが誤解のないように言っておく、地球温暖化はどうでもよいのではない、国益の視点を忘れないようにと言っている。「エコ」は「エゴ」でもある。最近の再生紙偽装と同じことが、国際政治の渦巻く地球環境問題でもありうる、騙されるなと田原氏はいっているのだろう。
素朴すぎる一元論的な環境論は、もう止めにしたい。かってのダイオキシン騒動を思い起こせば、その意味が理解されよう。多くの環境、省エネ技術にはかなりいい加減なものがあるが、これは国際政治においても同じである。「環境」に騙されないこと、そのためには「本当に科学的に徹底して考え抜く」ことである。

ようやく最近、経済産業省もそれに気づいたのか、公に1995年を基準とすると、日本とヨーロッパの立場か逆転すると述べている。これでは遅いのである、いつもながら。自分で考えない日本だが、もう欧米追従はやめないと、ポスト京都の国際的な戦略が立たない。温暖化はエネルギー問題そのもの、その合理的な対策には「脱浪費」が大前提となる。

拙著、「石油ピークが来たー崩壊を回避する<日本のプランB>」(日刊工業新聞、2007年)に、このことを「石油ピーク」と共に詳しく述べたつもりである、ご参照下されたい。田原さん、石油ピークも勉強してください、これはもっと大事です。 
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by tikyuu_2006 | 2008-01-20 13:48 | エネルギー、環境

日本衰退論に思う:イノベーション、有限地球観そして地域コミュニティー

人間は「自然の恵みで生きている。だが自然にも地球にも限りがある」。これを理解すれば、全てが見えてくるのだが、依然として成長、マネー至上主義、そして偽りの氾濫、心の喪失など社会の根幹の崩壊が目立つ。これが「衰退の本質」、特に日本の指導的な企業、エリート層、権力構造にそれが目立つ、残念なことです。 参議院選での自民大敗は、「このようなもの」への国民の不信の表現であったのか。日本で世界で、何かが根本で崩れつつあるようです。

現代文明は石油文明です、それに限りが見える。人類は石油を発明したのではない、その代替は無い、言ってみれば、ただこれだけのことですが、この「当たり前」が理解出来ないようです。

「イノベーション」という言葉は、オーストリア出身の経済学者 シュンペーターによって、1911年の著書「経済発展の理論」で初めて定義された、とされる。これが技術万能の西欧思想を生んだのでしょうが、当時、地球の限界は見えてなかった。しかし今は違う。

最近、日本は衰退するとの意見がある。流行と言ってもよいほど、自虐傾向の日本人だが、私はそうは思わない。浪費社会の限界を国民が悟りだしたのでは、まだその方向は確かではないが。
浪費型の典型、アメリカがおかしくなった。成長路線を邁進する中国だが、その二桁の経済成長も早晩息切れする筈、地球資源、特に文明を支える石油に限りが見えるから。多くの日本国民は、そのようなことを肌で感じ取っているのかもしれない。

衰退する日本という言葉があるが、日本は21世紀の「脱石油、脱浪費」、「量より質の新しい文明」に向けて、世界の先端を歩みだしたのかもしれない。もうボトムアップの地域コミュニティーの時代、日本人はむしろ今の日本に自信を持ってよいのではないか。だが条件がある、日本の政産官学の指導層に頼らずに、徹底して自分で考え抜く、その例として「日本のプランB」をご参照。
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by tikyuu_2006 | 2008-01-18 09:46 | 新しい文明の構想

ブッシュ大統領のエネルギー顧問、M.Simmonsの「石油ピーク白書」

「もったいない学会」が12月28日付、NPO法人となりました。今後の活動をご支援下さい。「地球は有限、自然にも限りがある」が我々の理念、原点です。
そして「石油ピークは農業ピーク、そして文明ピーク」であるがその主張です。幸い日本各地に仲間が増えつつあります、とくに地方で輪が拡がっています。それは「脱石油文明」は、「自然と共存、食の自立、日本農業の再構築、地域活性化、地産地消、分散型社会、自然エネルギーは分散型、地場産業が本命」などが21世紀の「日本のプランB」の柱となるからです。

しかし、「石油ピーク」を認めたくない人は今も大勢です。いろいろと反対理由を、あちこちから探すようです。それは丁度、太平洋戦争当時、敗色濃厚となった日本で「神風が吹く、何とかなる」と、現実を見ず、本土決戦などと尊い犠牲を増やした当時の考えない日本のようです。その日本は敗戦後、一夜にして民主主義をと叫んだのです(当時、開成中学一年生、教師が豹変した)。それも「徹底して考えない国民性」と言えばそれまでですが、それでは悲しい。

最近「石油ピーク」について、とてもよい文が出ています。タイトルは「Another Nail in the Coffin of the Case Against Peak Oil、”命取りとなる反石油ピーク論”、とでも訳せますか」です。著者SimmonsはWhitepaper と位置づけています

「2005年5月」が原油生産のピークであった、アメリカのエネルギー情報局(EIA)の月別原油生産統計データがそう語っている。その見解の中心的な人物がM.Simmons、ブッシュ大統領のアドバイザーとして知られるエネルギー投資銀行の会長です。上記は29ページにわたる Simmonsによる最近の長い論文、石油供給に関する白書です。

内容はきわめて具体的で、世界各地の石油地帯を熟知するSimmonsならではの石油ピーク論です。私も個人的にヨーロッパで何回か会っていますが、その見識も人物も本物です。
その著「Twilight in the Desert:砂漠の黄昏]は世界中で読まれ、中国語訳も既版です。邦訳も出たようです、題は違うようですが。それは、サウジアラビア当局の繰り返しの公式声明にも拘らず、この国の石油資源は限界に来ているというものです。

これにも反論は多いですが、説得力があります。このような文は耳学問でなく、ご自分でお読みになり、ご自分でお考えになることをお奨めします
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by tikyuu_2006 | 2008-01-13 11:09 | 石油ピークとは