カテゴリ:これからの日本( 83 )

「持続的な発展」とは: 石油ピーク後も発展、成長は可能なのか?

石油価格がバレル90ドルを越した。だが依然、それが地球の限界のためとは思わない人が殆んどですが、もう石油ピークは来ている流行の「持続的発展:Sustainable Development」も考え直す必要があるのでしょう。これは本来「持続と発展」を結んだ反語で、有限地球で無限成長はありえないが、この「輸入語」は今大流行、独り歩きする、殆ど議論されずに。いまでは漫画のタイトルのようなサステナすらある。

そこで長く読まれている、ある論文を紹介します。題は [Reflections on Sustainability, Population Growth, and the Environment:1994~] 、著者はコロラド大学のA. Bartlett。この大学には[Spaceship Earth]で知られるK.Bouldingなども。
Bartlettは[Sustainable]という言葉は、有名な「成長の限界:The Limit to Growth,1972」が出された後、この「Limit」を嫌った人々が編みだした、本来農業、林業で使われてきた「Sustained Yield」が転用された、と述べています。
同じく日本に、批判なしに輸入された著名な「Our Common Future:Bruntland report 1987」も「持続可能な経済成長の時代・・・」などと、各所で論旨が曖昧であると指摘します。

司馬遼太郎は「日本人は、いつも思想はそとからくるものだ、とおもっている」(この国のかたち)と述べていますが、どうやらそのようです。21世紀に入って、人間の生存基盤が劣化し、日本社会も至る所で綻び、限界が見えて来ました。このような時、オーム返しのように、持続的発展、頑張ろうでは、いずれ大変なことになるのでは。 決して新しくはない本論文から、アカデミズム、大学のあるべき姿を改めて教えられるようです。

more 本論文
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by tikyuu_2006 | 2007-10-27 09:02 | これからの日本

「二つの国民」が住む日本:格差社会のもたらしたもの

経済成長至上のアメリカ追従の政策、政治は、日本に歪んだ格差社会を生んだ。この国は美しくなどなかった、自民大敗はその証左である。だが勘違いしてはならない、これは民主党が素晴らしいということでもない。

成長主義に潤った格差上位の政財界のトップ、社会のエリート、指導者などは勝者、格差下位の地方、中小企業、庶民、社会的弱者などは敗者である。今の日本の国民は、二分されている。 「二つ国民が住む」のである。 ほぼ半々、世論も二分される。
今も利子ゼロ政策を続け、庶民の得るべき利子を勝者に移転する。その低利子の日本マネーが世界のマネーゲームを培養する。そして自らもマネーゲームのお得意な日銀総裁、今の日本社会の矛盾を述べれば切がないほどである。 マネーが全てとなった日本、人は心を失った、誇りを喪失したようである。しかし 「もう一つの国民」はよく見ていた、自民大敗はその付けでしかない。

日本は、いまでは「勝ち組と負け組み」の「二つの国民」が住む国となった。そして首都圏、中部、関西の3圏に日本の人口の半数が住む、そして過疎の地方。もったいない狭い日本列島の使い方である。

ではどうするかだが、私は繰り返してきた。「地球は有限、自然にも限りがある」、永遠の膨張、成長は原理的にありえない、これからは「脱浪費」、「もったいない」である、と。
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by tikyuu_2006 | 2007-10-01 05:22 | これからの日本

「石油ピークが来た」、と公的国際データすら語り始めた、「ウランピーク」も目前に

「石油ピークが来た」と、公的なデータが雄弁に語りだした。アメリカ、エネルギー省のEIA(Energy Information Administration:エネルギー情報機関)のグラフは多弁を要しない。この毎月の「原油」生産統計では、2005年5月がピークで、それは7400万バレル/日であった。尚これは原油である。石油全体(原油の他にNGL,精製プロセスでの増分を含む)では、ほぼ8400万バレル/日である。
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実は、このような統計は世界に少なくない。今までも学者、本当にわかっている専門家は知っていた。それを「地球の限界」を認めないエコノミスト、テクノロジストは、市場、技術至上主義の呪縛のためか理解しようとしなかった。特に日本では、今もそうだが。
自民大敗、安倍さんの辞任劇、そして今の総裁選に関連して日本の将来論が盛んだが、エネルギーの視点を欠く。温暖化論議も盛んだが、これがエネルギー問題であるとも思わない。これが日本がいつも空論に流れる理由である。
経済、GDP,そして文明の盛衰は、基本的にエネルギーの供給で決まる。 これは次の図から理解できる。
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その石油に限界が見える、対策は「脱浪費、もったいない」である。「もったいない学会」のキーワードは「石油ピークは農業ピーク、そして文明ピークである」、そして「ウランピーク」はもう来ている、との見解がある。価格はすでに急騰している。 
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by tikyuu_2006 | 2007-09-17 12:02 | これからの日本

安倍さん「最後のメルマガ」: 国民よりアメリカとの約束が大事だった?

9月13日朝 
”こんにちは、安倍晋三です。 内閣総理大臣の職を辞することを決意いたしました
 
 7月29日の参議院選挙の結果は、大変厳しいものでしたが、改革を止めてはいけない、戦後レジームからの脱却の方向性を変えてはならない、との思いから続投の決意をし、これまで全力で取り組んできました。
 また、先般のAPEC首脳会議が開催されたシドニーにおいて、テロとの闘い、国際社会から期待されている、高い評価をされている活動を中断することがあってはならない、なんとしても継続していかなければならない、と申し上げました。

 国際社会への貢献、これは私の「主張する外交」の中核であります。この政策は、なんとしてもやり遂げていく責任が私にはある。こうした思いで、活動を中断しないために全力を尽くしてく、職を賭していくと申しました。
 テロとの闘いを継続するためには、あらゆる努力をする。環境づくりについても努力しなければならない。一身をなげうつ覚悟で、全力で努力すべきと考えてまいりました。 そのために、私は何をすべきか。局面を転換しなければならない。これが私に課せられた責任であると考えました。

 改革を進めていく、その決意で続投し、内閣改造を行ったわけですが、今の状況で、国民の支持、信頼の上で、力強く政策を前に進めていくのは困難である。ここは、けじめをつけることによって、局面を打開しなければならない。そう判断するにいたりました。 新たな総理のもとでテロとの闘いを継続していく。それを目指すべきではないだろうか。今月末の国連総会へも、新しい総理が行くことがむしろ局面を変えていくためにはよいのではないか、と考えました。

 決断が先に延びることで困難が大きくなる、決断はなるべく早く行わなければならない、と判断いたしました。 無責任と言われるかもしれません。しかし、国家のため、国民のみなさんのためには、私は、今、身を引くことが最善だと判断しました。

 約1年間、メルマガの読者のみなさん、国民のみなさん、ありがとうございました。 この間にいただいた、みなさんの忌憚のないご意見、心温まる激励を、私は決して忘れません。私は官邸を去りますが、改革、そしてテロとの闘いは続きます。これからも、みなさんのご支援をお願いします。(晋)”

(国民に対する言葉がない、テロとの闘いが全て? ナイーブな日本のエリートの姿、ひたすらに欧米追従する姿に哀れみすら覚えるのは、私だけだろうか。「美しい国」という言葉で始まった安倍総理、ただ幼なかった)
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by tikyuu_2006 | 2007-09-13 11:19 | これからの日本

「食べ物をバイオ燃料に」の愚さ:人は食べないと死ぬ、この「当たり前」を忘れるエリート達

バイオ燃料で疲弊した農業振興と言う大義名分は、短期的な救済策としては理解できるが、中長期的には大変な間違いである。人類から食料を奪う話であり、またエネルギー収支からみても、多くは非合理的である
穀物からのバイオ燃料はやってはいけないブラジルのサトウキビからのエタノールのEPRは8程度と高いがアメリカなどでのコーン、穀物からのEPRは低い、そして土壌、環境破壊を伴うからである。

「水田を油田に」は以前、朝日新聞に掲載された記事である。日本のエリート層、その意味を考えないで、温暖化対策になる、脱石油戦略になるなどと言うようだ。いまではバイオ燃料は流行の先端ともなった感がある。だが、本当にそれでよいのか。
識者、大学、研究者は国民の立場、真に地方の側に立って問題を科学的に考える必要がある。自民大敗を念頭に、地方、庶民、中小企業、社会的弱者の立場で本気で思索すべきなのでは。
単にアメリカでコーン・エタノールが盛ん、それに遅れないようになどでは無邪気過ぎるのでは。企業はお金が儲かればそれでよいが、国民、庶民、世界の普通の人々、そして今も飢える人々にとっては、そうは行かない。
拝金主義はもう止めにしたい、そのようなことに税金を使ってはならない。昔からの教訓、「お金で幸せは買えない」を思い出そう。そこで、

1)「もったいない学会」は10月16日午後、東大の弥生講堂・一条ホールで、シンポジウム 「自動車用燃料をどうするか」を開催
2)コーネル大学のPimentel,カルフォルニア大学バークレー校のPatzek等の見解(下記More)を参照されたい。またPatzekには長い論文、「Thermodynamics of the Corn-Ethanol Biofuel Cycle」などがある


More Green Plants, Fossil Fuels, and Now Biofuels
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by tikyuu_2006 | 2007-09-09 07:13 | これからの日本

自民大敗: グローバリゼーションと市場原理は、何を切り捨てたか、そして「わかって欲しいこと」

自民党が歴史的な大敗をした。1955年以来、日本は初めて本格的に変わるかもしれない。 21世紀は20世紀の延長にない、国民は何かを悟っているようだ。むしろ、わかっていないのは日本のエリート、リーダ達かも知れない。

近年推進された改革とは、実質的には「日本のアメリカ化」であった。 アメリカ追従の竹中平蔵氏がそれを推進したが、日本的な固陋、既得権益などを破壊した功績はあった反面、日本の伝統、良い所を根こそぎにした。 陽のあたる「一つの国民」のための政策であった。だがこの物質至上の拝金主義によって失ったものは大きい、それは日本の心であり、志である。

アメリカ主導のグローバリゼーション、市場原理とは、新古典派資本主義、ネオクラシックエコノミクスとは、結局のところ「強者必勝」の「勝者が全てを取る」強者のための仕組みであった。 アメリカが、国際的大企業が、そして権力サイドが更に得をする戦略だった。それは今や世界中でその矛盾、綻びを露呈しつつある。
その結果として「格差」は至るところに拡大した。 これはむしろ当然のこと、トリクルダウンはやはり言い訳でしかなかった。 経済は回復したが、それは誰かの犠牲によった。切り捨てられたのは地方であり、庶民、中小企業であり、そして社会的弱者であった

初めて日本が動いた。 切り捨てられてきた、陽の当らない「もう一つの国民」が反乱した。だが、「陽の当る国民」も「もう一つの国民」も、与党も野党も、「わかったつもり」の識者も、確信犯は別として、有限地球時代にどう生きるか殆どわかっていない。 国際官僚の建前論的な情報に、頼り切るからである、だが世界は本音で動いている、それが国際力学である。

そして「わかって欲しいこと」とは 「地球は有限、自然にも限りがある」石油ピークは農業ピーク、そして文明ピークということである。地域重視、分散の視点はここから生まれよう。 
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by tikyuu_2006 | 2007-08-11 00:12 | これからの日本

クローズアップ現代、「地球を救え、環境革命の提言」:L.ブラウンの楽観論

5月24日「クローズアップ現代」に、著名な環境運動家であり温暖化脅威論のL.ブラウンが出演し、持論の技術万能的な楽観論:PlanBについて熱弁した。意外と思われようが、彼は経済成長主義者、これが絶大な人気の秘密である。
北欧の風車を例に上げ、経済発展と温暖化対策は両立するというが、人口1.3億人、経済が遥かに巨大な、工業国日本にそのまま適応するとは思えない。

PlanBといっても色々である。ブッシュ大統領のエネルギー顧問、M.シモンズは石油ピーク論に基づいて、悲観的なPlanBを主張している。彼はエネルギー投資銀行のCEOであり、その著「Twilight in the Desert」で、サウジアラビアの石油の黄昏を警告する。最近、日本語訳も出たようである、妙な日本語のタイトルだが。中国、ドイツ語版は既に出ている。中国を侮ってはならない、彼らは石油ピークを知っている。
そして私には、日本の自然と共存する「もったいない:PlanB」がある。21世紀の生存に、万国共通の万能薬はない、と理解すべきである。

ブラウンの技術的楽観論には、異論も多いのだが、NHKはブラウン礼賛に終始した。真面目な番組だけに本当に「もったいない」。流行の「地球を救え」も気になる、それは人の思い上がり、今危ないのは人間の方だからである。
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by tikyuu_2006 | 2007-05-25 00:18 | これからの日本

「石油ピーク」も知らずに、21世紀を語る「わかったつもり」の立花隆さん

文芸春秋の6月号に、立花隆が「団塊こそ”知の救世主”」というタイトルで、21世紀は20世紀の延長でない、今の若者に比して団塊世代は知的レベルが高い、頑張れ、と檄を飛ばしている。

この四月から、66歳の氏は、立教大学の大学院21世紀社会デザイン研究科の特任教授となったそうで、授業には60歳の団塊の世代など社会人が大勢、真剣に聞きにくるという。その経験からの、いつもの歯切れのよい檄文である。

熱っぽく、21世紀にはまったく新しい視点が必要と語るが、何故そう思うのか、私には全く分からない、そこには「地球は有限、自然にも限りがある」の視点、21世紀の最重要視点が無かったからである。立花さん、もっと勉強してください、「わかったつもり」は駄目ですよ!
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by tikyuu_2006 | 2007-05-20 04:22 | これからの日本

ニューヨークで、「当たり前」を言った石原東京都知事

5月20日読売新聞、朝刊に「日本、核保有の可能性も」という見出しで、石原東京都知事のニューヨーク講演が紹介された。
その見出しそのものより、私が注目したのは、副見出し「米との防衛体制に疑問」であり、さらに興味を引いた、むしろこれを「トップ見出し」にほしかったが、中国経済の先行き見通しについて「ぎりぎりもって、北京五輪までだろう」と答えたことである。

その通り。その理念、原点は違うようだが、今後、エネルギーが最大の中国経済の制約となる、が私の主張だからである。
「当たり前」とはこの点においてで、核保有については、原爆被爆国である日本、私は賛成できない。
残念ながら、慧眼の石原氏ですら石油ピークをご存じないようである。一方、中国はそれを知っている。ヨーロッパの識者グループ、ASPO(Association for the Study of Peak Oil)会議への出席ぶりから、そう思われる。
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by tikyuu_2006 | 2007-05-19 12:08 | これからの日本

会社は誰のものか:マネーが全てではない!

会社は株主、従業員、取引先、そして消費者、関係するステーキホルダー全てのもの、「ハゲタカ」続編の「バイアウト」の主張、著者は真山仁である。
この当たり前が、今の日本で忘れられている。アメリカのように株主のものと言ってよいのか、そうではないとさわやかである。当たり前だが、会社は社会あってのものでは。
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by tikyuu_2006 | 2007-03-31 22:14 | これからの日本