現代文明の潮流が変わる:トヨタは「石油ピーク」をわかっているが、日本社会は?

経済危機、世界恐慌を恐れるのか、日本では積極財政、財政出動すべきとの意見が日増しに高まっている。だが、その先どうなるのか。膨大な借金を増やすであろう積極論、戦略も見通しもないまま、声だけは大きくなる。

10月5日のテレビ朝日の「サンデープロジェクト」、田原総一郎氏は自民党国会対策委員長に向かってそれ以上の積極論をぶっていた。そして同夜のフジテレビ、最近始まった「サキヨミ」でも同様、景気が大変とにかく積極財政をと、ただただ勇しかった。

虚の世界、マネーゲームの崩壊が皮層にあるとすれば、深層には石油減耗のもたらす石油文明の衰退、浪費型文明の終焉がある。これは現代文明の一大変革期、それすら理解しないで「わかったつもり」のマスコミ、日本の指導者、知識人の言動、評論は、冷静に思索もせずに猛進し自滅した太平洋戦争突入、その末期症状に酷似している。 最後にはただひたすらの前進を命じ、玉砕を押しつけた思考能力喪失の軍部と、冷静に考えることを恐れる現代の日本社会、マスコミと本質において変わらないのでは。
残念だが、この日本社会特有の体質、冷徹なリアリズムの欠落という現象が、この文明変動期のもっとも大事な局面で、再び露呈されつつあるようだ。 どうして日本は、いつもこうなのか。地球温暖化でも同じ現象、朝日新聞10月6日の社説、”「環境」だって票になる”、にも驚いた。その一節、

”「洞爺湖サミットで温暖化論議は一段落」と言った静けさである。 地球温暖化への対応は、21世紀の経済と社会の発展のあり方を決める重要な選択であるにもかかわらずだ・・・気候変動と言うピンチを、経済や社会の発展のチャンスに変える構想力と指導力―。現代の政治家のだれもが備えているべきである。”

とあったが、本当にそうなのかもっと多様な思考をすべきではないのか。一つのこと、画一的にしか考えられないのか。
しかしこのメディアにも、未来を憂える優れた人々はおられる、特に若いジャーナリストには、最近の一色に染めあげる奔流に抗しえないと嘆く方は少なくないが、目から鱗が落ちたと言いつつも、TV, 紙面に出せるか自信がないという。

だが冷静で合理的に思考する組織、人々もおられる。去る7月25日、豊田市での「トヨタ技術会」で講演した。最近その社内報、議事録的な報告を頂いた。当日、1500名のトヨタ関係者、トヨタ会館の大きなホールに1000名、場外300席と立ち見、そして裾野にある研究所へも中継されていた。

私の講演タイトルは「石油ピークが来た」、これはトヨタ側のご希望であった。頂いた社内報には技術会の会長、滝本正民副社長のご挨拶も。 そこで社内報全体をご覧を。石油ピークを技術系トップの滝本氏のみならず、多くの方が本質を理解された。流石世界のトヨタ、上述のメデイア、評論家諸氏とは大違いである。 その後の新聞報道によると、トヨタは09年度の車生産台数目標を1040万台から970万台へと下方修正したそうである。やはり、トヨタはわかっておられる。
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by tikyuu_2006 | 2008-10-06 00:23 | これからの日本
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