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原発の若狭のこと

「原発の若狭」を思う
原発再稼働への動きばかりが目立つ日本、その権力、利権構造だが、そこに日本の未来、希望はない。「今だけ、金だけ、自分だけ」の人々に任せておけない、と思います。

そこで題記である。
作家の水上勉がある映画のパンフレットに寄せた文、未公開の400字原稿用紙8枚ほどのエッセーである。朝日新聞、上丸洋一著「原発とメディア」の印象的な文、389頁から引用、その書き出し、

故郷(若狭)になぜ、あんなに原発が集中したのか。
その理由を元小学校長の知人が語る。
「明治初期から、まったく地場産業がなく、昭和の高度成長期にも、成長が無く、ひたすら二男三男、子女を都会奉公に出してくらしてきた。長男戸主を中心とする貧困な農漁村が多くて、彼らが人なみの、いや世間並みのくらしがしてみたくて、企業の誘致をはかってきたが、そっぽをむかれてきた。最近になって、他所のいやがる原発をひと手にひきうけてしまった」
五十年間も小学校の教師をしてきた知人は「教えた子が、都会に出て、薄幸な人生の終末とげて、骨になってもどってくるのに何百回となく立ち会ってきた」。だから「若狭は人の子を都会という戦場に弾丸のように送ってきた国だという考えが消えない」のだが、「原発がきて、やっとのことで、都市と同格になった気もする」という。
都会へ電気を送り続けたわが故郷。・・・・・町はあいかわらす過疎である。東洋一の原発があっても、人口に変化なく、まだ火葬場もないのである。人が死んだら穴を掘って、警察官が立ち会わずに埋め込まれている。・・・・・
美しい仏教の国若狭が「文明の火」のためにやがて亡びるときがくる。と作家は思い描いた。
哀切にして痛切。
原発を語って、これほど惻々と胸に迫る文章をほかに知らない。「人間と原発」をここまで深くとらえた新聞記事がはたしたあったかどうか。

如何ですがこの反原発の言。そして私の思い、使用済み核燃料は10万年の隔離が不可欠だ、生命系にとって絶対的異物、それを増やしてはならない。故に脱原発は人類の願い、と思います。

日本の未来構想に大いに参考になります。地方分散、地場産業的な再生可能エネルギー開発の勧めです。「より近く、よりゆっくり、より寛容に」、水野和夫氏の近著「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」の趣旨にも合うのでは。





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by tikyuu_2006 | 2017-08-28 09:16 | 新しい文明の構想
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