日本の科学技術戦略を想う

「わかったつもりは無知に劣る」-戦略なき日本の科学技術

これは言わば講演録、「もったいない学会」の総合タイトル「エネルギー・資源・文明危機下の戦略なき日本を乗り越える未来戦略について」にて話した内容(2014年6月6日東京大学工学部2号館)を基にしています。
http://www.mottainaisociety.org/index.html

私の現代文明的な危機論、日本の危うさについての警告
その要は「地球は有限、資源は質が全て」、私の年来の主張です。資源に乏しいにもかかわらず、本質的な危機感を欠き、最近では日本近海にメタンはイドレートが豊富、海底には熱水鉱床がある、海流エネルギーがあるなどと楽観論が展開される昨今、膨大な国費が使われています。 
これも有限地球観がないからでしょう、石油ピークも理解せず、シェール革命だ経済成長だと暢気な楽観論だが、もう真剣に自分で考える、欧米追従は終わりにすべき時なのでは。

日本は温暖化危機には必要以上に敏感
二酸化炭素の地下貯蔵のCCS、排出権取引などには懸命で、企業も国費浪費のビジネスとして温暖化危機を唱えますが、これは殆ど間違い、地球はもう寒冷化していると観測データが示しているからです。基本戦略は「低エネルギー社会」とすべきです。
http://oilpeak.exblog.jp/18328015
地理学の鈴木秀夫東大名誉教授は東大駒場S26年クラス会誌に、次のように述べます、
“後輩から送られてくる論文をみると、温暖化説が多く、一方、少数意見として寒冷化の可能性説もあります。もっと重要な問題があります。温暖化が事実とした時、それは本当に人類にとって困ったことであるのか、という問いです。カナダの小麦生産は増えるでしょう。ロシアも住みやすくなるはずです。サハラ砂漠には雨が降って農業がさかんになります。東京が水没しても、その繁栄は、栃木県南部に移るということです” と。 
科学者としての自信とプライドがこのようの深い内容の文を書かせたのでしょう。今更ながら今は亡き鈴木君の慧眼に敬意を表します。

そこでエネルギー・資源についての私見を述べます
実は温暖化危機対策は原子力推進とセットだったようです。原発安全神話もそれに沿っていました。これが3.11で崩壊した。ですが、今も原発再稼動したい為政者、企業ですが、これでよいのでしょうか、本当に原発は安全なのでしょうか。
このように日本では、エネルギー・資源問題は原点で迷走するのです、日本近海に海洋資源、メタンハイドレートがとマスコミは喧伝しますが、本来これはエネルギー収支比、EPRの問題なのです。
最近、週刊東洋経済が6月21日号で特集:検証)「日本の海洋政策、国産海底資源バブルの内幕」と題する10ページ大の調査記事を出ました。担当記者が予め理念の取材に見えました。そのためでしょう、日本にはめずらしいリアリズムの優れた記事となりました。
これからは自然と共存する社会が大事、地域分散の地産地消、食とエネルギーを構想すべきです。現代の東京一極集中からの分散は、関東震災の備えとしても急務なのです。

もったいない学会とは「石油ピークを啓蒙し脱浪費社会をめざすもったいない学会」が正式名
2006年に創立し、翌年東京都NPO法人となりました。その要の思想は石油ピーク、石油文明終焉に備える脱浪費です。為政者、企業の希望する経済成長路線は有限地球でありえない、成長の限界です。
しかしこれを理解しない人は大勢ですが、実際には下図のように、石油生産限界、価格高騰は2005年ころから基本トレンドが変化している、これが石油ピークです。政府、企業の資料でなくドイツの識者グループ、EWG(Energy Watch Group)によるものです。
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「地球は有限、資源は質が全て」の意味するところ
これは言い換えると有限地球観ですが、人はそれを理解できない、更なる経済成長を目指します。資源制約も大量のマネ-ばら撒き、超緩和金融政策で凌ごうとします。一見GDPは増大しますが、国民、市民は幸せを感じていないのでは。何故か、もう少し考えてみます。
次は「99% vs Top1%」の比較、超格差社会の図です。この成長パターンの特徴をご覧くさい。過去30年間とその前の30年が、1980年頃で大きく傾向が異なるのです。
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これはアメリカの例ですが、1947年から1979年までは、最上位20%と最下位20%は同じように成長しました。だが1980年頃を境として大きな様変わり、トップ1%のみ成長しそれ以外の99%は停滞しています。これが現代の超格差社会です。日本も同様な傾向と見られます。

何故そうなったかですが、現代の石油文明は石油で支えられますが、その石油が生産ピークを迎えている、アメリカ政府が経済の成長政策を取っているからです。つまり文明を支える資源に限界が来ているので、トップ1%しか成長させられない、99%の犠牲の基にトップ1%が潤うように政策展開されている、アメリカのウォール街、金融社会を成長するマネー社会を推進、その結果の超格差社会なのです。
そのための権力構造維持に金融機関、FRB,ワシントンと回転ドアーのように人が動かす人事政策を行っていると言われます。それを詳細に述べる「The Price of Inequality」、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミスト、J.Stiglitz著2013年、500ページのペーパバックの大作は必見です。
日本も同様の政策を安倍政権が取っています、いわゆるアベノミックスですが、その基本原理はアメリカの模倣、安倍さんの家庭教師・エコにミストは浜田宏一内閣官房参与、イエール大学名誉教授だからです。

首都圏の一極集中は日本国家の大問題
今の日本の「国のかたち」の脆弱性は世界に類が無い。いずれ来る間東大震災に備えないと国家存亡の危機を迎えます。
1923年の関東大震災では、東京の災害が良く語られますが、次の写真のように鎌倉由比ガ浜は大変な災害でした。
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震源は鎌倉の西南40kmほどの相模トラフだったからです。つまり湘南は東京より震源に近かったのです。
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日本は地震災害列島なのです。
ミュンヘン再保険会社(http://www.fdma.go.jp/html/new/pdf/1512_tiiki_2.pdf)による世界の危険指数では、東京・横浜ゾーンは桁違いに危険だという。2位がアメリカのサンフランシスコ、そして3位はロスアンゼルス、アメリカ西海岸は地震多発地帯だからですが、その次にまた日本、大阪・神戸・京都、4位というのです。
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これを忘れないこと、地球物理学者の寺田寅彦は、天災は忘れた頃にやってくる、と警告します。東京一極集中から地域分散、自然と共存の日本列島文明を構想するのです。
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無限の経済・GDP成長を求めて暴走するのでなく、国民の幸せを優先する、いずれ来る関東大震災に備えとしても、地方分散が真の未来型、天皇も京都が安全と思います。

生態学者A.ロトカ:「エネルギー豊富なとき栄えるのはエネルギー最大消費の生物種、乏しいとき生存するのは最小消費種のみ」、といっています。 これからは低エネルギー社会、脱浪費の地方分散・分権の未来型が望まれます。それが自然と共存、再生エネルギー・シフト戦略なのでしょう。つまり地産地消です、そして農業は有機の立体農業が望ましいのでは。
以上が私の考える、望ましい「未来日本、その国のかたち」です。

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by tikyuu_2006 | 2014-07-16 06:11 | これからの日本
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