オバマの巧妙な戦略と日本の対応: アラスカ大学 赤祖父俊一

オバマ米大統領は巧妙な戦略家である。次々と政策を発表して、国内外の人々を魅了している。前大統領と異なることを世界中の誰にでもわかるように一言で示したいのであろう。彼は世界中の子供まで知っている地球温暖化に取り組むと発表した(もっとも「地球温暖化」という言葉を使わず「気候変動」と言った。一般市民には両者の区別は難しい)。それを聞いた世界中の人々は「ブッシュ前大統領と異なる」という印象を持った。カウボーイ的ブッシュ前大統領は地球温暖化を無視したため、世界の悪者にされていたからである。日本では「オバマは京都議定書に参加するのではないか」と期待したようである。
 オバマはその「気候変動」に対処する対策の一声として「自動車の効率を改良せよ」と述べた。これはすなわち、

・石油の輸入を少なくする。省エネになる。
・したがって米国の石油輸入の大赤字が軽減できる。
・長年放置してきた大気汚染が軽減できる。
・米国の自動車会社を国民の税金で再建し、トヨタのハイブリッド車より優秀なものを作る口実ができる。
・彼はデトロイトの自動車労働組合の大きな支持があったのでそれに応えられる(国民の多くのGMなど潰れてもよいと思っている)。


まさに一石二鳥、一石四鳥である。すなわち炭酸ガスなどは優先する問題ではないのであるが、これらをもって炭酸ガス放出の軽減になると胸を張って言える。
 ところが実際は米国の発電の50パーセント以上は石炭に頼っており、ハイブリッド車の電池は石炭発電に頼るしかない(原子力発電に切り替わるまで)。オバマは太陽電池、風力発電、その他もろもろの電源を開発せよと言っているが、米国の大電力消費を賄えるはずがない。いずれにせよ予算がない。

 したがって、石炭発電、炭酸ガス放出を続けなければならない。しかし、これを批判されれば、オバマの地球温暖化に取り組むということが矛盾してくる。板挟みになった環境保護局(EPA)は炭酸ガスを「汚染ガス」と認定し、炭酸ガスは健康に有害であるとした。これについて日本のメディアは「ついに米国は地球温暖化問題に真剣に取り組むことになった」と鬼の首を取ったような報道ぶりであると聞く。もともと他の国のことで騒ぐことはない。
 
 米国のメディアの反応は適当な日本語が考えつかないので「ニヤニヤしている」とでも表現しようがない。これは社会戯評の漫画によく表れている。ついでではあるが、ゴア前副大統領は日本では救世主として取り扱われているが、温暖化についての米国での戯評はジョーク程度に取り扱われている。
 このような日本の反応は極めて異常という他はない。日本の人たちの教育程度は炭素や炭酸ガスを敵視するほど低いのか。もし地球の大気中に炭酸ガスがなかったら、地球では海底火山で最下等の生物しか育たなかったはずである。植物は大気中の炭酸ガスを吸収して光化学作用による炭素の四つの腕に太陽エネルギーを捕獲し、我々の食糧を生産してくれているのである。植物がなければ地球表面は海と砂漠だけである。
 
ついでではあるが、オバマ政権は京都議定書に参加しない立場のようである。以前から中国とインドの参加なしには意味がないと発言しており、中国では中国を世界の工場にして何を言っているかと全く取り合わないので時間の無駄であろう。
 
 日本の若い優秀なレポーターでこんなことが見抜けない者はいないはずである。しかし、日本の大新聞の多くは全く空想に近い(しかも極めて不正確な)温暖化による大災害の記事で新聞を売りまくっているので、彼らは正確な報道ができないのであろう。新聞社は日本人一億を総馬鹿にしても儲けたいのか。
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by tikyuu_2006 | 2009-04-26 18:37 | これからの日本
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